薔薇/AKiHiCo
 
の上で転がしては飲み込んだ

記憶の断片
激しい頭痛に襲われた日
あの人は傍に居てくれた
ベットで横になっている僕の
額にそっと手を当てて
後ろで何かが鋭く光っていた
たぶん何かの見間違いだろう
愛されていたい――
絆は紡がれなかった
最初からなかった
愛は一歩的過ぎた
苦しいだけの恋
だけど一緒に居たかった
いつか本物になると
信じていたから
本当に

砕け散ったのは心か体か
迸るのは白い薔薇の馨
あの人が微笑みながら僕に手渡した
それは鋏だった薔薇の蔦が
棘を孕んで絡み付いている
滲む視界の中にあの人を見つけた
判っている判っている
この鋏を握っていればいいんだ
愛されていたかった

破れるまでの頁
僕が終わる事であの人は幸せになれる
あの人の為なら何でも遣ってきた
終わった後も僕の意志で
あの人に莫大な金が入る
此れでいいんだろう
あの人の為に閉じれるなんて




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