衝撃と恐怖/徐 悠史郎
まっさおに晴れ渡った空の一点に、アクリル硝子の瑕疵のように浮んだ記憶……、
……衝撃と恐怖、今また私たち、……私たち、その名のもとに語られよ、口に白い闇をふくみ、眼に黒ずんだ光をともして。「私たち」よ、声よ……。届かない言葉を手にせよ……風はなにも知らない、千年樹もなにも見てはいない、ただ「私たち」が知り、「私たち」が見る……わたしたち、わたしたち……いつからわれら、二人となったのか……だがここにひとつの根が降りる、ここに樹のように降り立つ生と死は、わたしの重ねられた手のひらに息を留めている……
土の裂け目。……、……、ゼロの
地帯。……疑いのない場所……そこから始める場所、否応なく
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