童話「なないろのつる」/チアーヌ
ゆうなさんはさっそく、カバンから化粧道具を取り出して、鶴の体に色をぬりはじめました。
思ったよりも、それは、とても大変な作業でした。
鶴の羽はつるつるとすべって、なかなか色が乗らないのです。
でもそこは、化粧品のセールスレディ歴十年の腕前で、ゆうなさんは、むずかしいお化粧を、なんとかこなすことができました。
何時間かかったのか、ゆうなさんにはわかりませんが、窓の外はまっくらになっていました。
「できましたよ」
ゆうなさんが、汗をふきながら言うと、鶴は立ち上がり、ガラス窓に自分の姿をうつし出しました。
「これは、すごいや!」
鶴は感動したようすで、羽を開いたり閉
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