童話「なないろのつる」/チアーヌ
 
た。
 もう、日が暮れかけていました。
 すると、道の向こうから、誰かが歩いてくるのが見えました。
 ゆうなさんはうれしくなりました。
 その人に、近くの駅までの道を、教えてもらえると思ったからです。
 でも、近づいてきたのは、なんと、大きくて、真っ白な鶴でした。
 ゆうなさんは何度も自分の目をこすりました。そんなことが、あるわけがありません。
 しかし、その鶴は、ゆっくりとゆうなさんの目の前に立ち、話しかけてきました。
 鶴はちょうど、ハイヒールをはいたゆうなさんと、同じくらいの背丈がありました。
 「こんにちは」
 鶴が言いました。男の子の声でした。
 「こんにちは」

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