海辺の理由/二瀬
貝殻達と一緒に
海辺の理由を
立ち聞きしている
2.
私はうまく死ねずに
この浜をよく歩き回っていた
ふじむらさき色の花びらを
意味もなく集めながら
淡い緑色の海水を足で弾いていた
せめて
足跡だけは海の中に逃げこんで
水色の魚になってほしかったから
嘘と本当の定義書
その
2ページと3ページの間に
私たちの海辺が挟まっている
パラパラとページをめくるなら
めくらないのと変わらないんだよ
私達は
本当は歩いていたのか
ただ見つめ合っていたのか
よく分からないね
うそ
ほんとう
どちらでもない
ひとひらの
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