イニシェーション/木屋 亞万
が
ふと我に返りバイクから降りて
脅威に怯えるように
トンネルを進んだ
帰りのトンネルは長く感じられ
途中一人が別の隊列に紛れ
脇に逸れていくように感じた
別の隊列などいるはずもなく
幻覚の類かもしれないと
前を見据えて出口を目指した
今騒ぐと全員が危ない
幻だと信じて重い足を
前へ前へ進めていく
後ろに仲間の気配はある
大丈夫だ
進め
ススメ
朝もやの立ち込める外に
何とかたどり着いた
帰路と行き道が同じだったか
どうも怪しいところだが
町に帰ってくることができた
我々は4人になっていた
全員いる気がする
誰ひとり欠けていない
最初か
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