イニシェーション/木屋 亞万
 
初から4人だった
気がして改めて思い返すと
再婚すると言っていた
あいつがいない

希望を持ったやつが
一番先に呑まれていくんだ
馬鹿野郎
4人で涙を流しながら
引き返す気力はなく
小川の流れる谷にかかる
鉄筋コンクリートの橋を
渡りながら泣いた
畜生と技師がつぶやくと
山の向こうから咆哮が聞こえた

こうして我々は大人になった
何を得るために山に行ったのか
今でもよくわからない
町に帰って我々は
どのような顔をすればいいのか
複雑なものを背後に感じながら
我々は大人になったのだ
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