コップ/アンテ
なにも残らない
神経が切断されて
身体をコントロールできなくなる
ずうう
背骨が切断されて
頭がぐらぐらする
ずうう
切り終えた反動で
頭が転がりおちる
叫んだつもりなのに
声が出ないのは
喉が裂かれてしまったせいだ
身体が右往左往し
危うく頭を踏みつぶしそうになる
投げ捨てた鋸が
頭のすぐ傍の床に刺さる
凍らせてしまえば
コップから取り出しても
水はコップの形状を保ちつづける
別のコップに入れると
最初はしっくりこないけれど
すぐに溶けて
なにもなかったように底に溜まる
蒸発した水は
時にはコップの表面で冷やされて
また水滴にもどるだ
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