無人駅のひと/恋月 ぴの
達がわたしの部屋を見張っていて
わたしの姿に気づいたのか
顔を隠すかのように咥え煙草をつま先でもみ消した
(4)
わたしにとって毎日が刺激的だった
地方の女子高から東京の大学へ出てきたものの
親しい友だちが出来た訳でも無く
大学と親が借りたアパートを往復する日々
何かしらの変化をわたしは求めていたのかも知れない
一晩泣き明かそうが朝になれば鏡に向かい化粧を整えるように
女は何かしらの変化を期待し続け
そしてその変化のために恋の夢を紡ぎ出す
(5)
刑事の聞き込みに慌てた両親に実家へ連れ戻されてから
あなたと再び逢うことは叶わなかった
携帯電
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