青いひかり       /前田ふむふむ
 


一面の草むらから、湧きあがる青い空。
向き合うわたしの窓は、青い空をもたない。
手にした一枚の写真を見て、
水を得た魚のように泳いだ海は、
黄ばんだ家族の笑顔のなかで、流れていた。
その傍らで、少年のような灯台を支える、鋭い岩に、
痛みを刻んだ、カレンダーの波が打ち寄せる。
随分と遠くに来たものだ。

しばらく、なだらかな坂を降りると、
水平線を引いた海が溢れて、
迷ったカモメが、わたしの靴先に止まる。
青いひかりに覆われて、
眩しく日焼けした海のなかの、夥しい海が、眼孔を洗った。

ひかりに遅れながら、息を高めて、
急な坂をのぼ
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