ふくろうと錦鯉/小原あき
のようで
でも、そこには、きっと
身勝手な願いしかない
ふくろうを売りに行くと
夫に正直に話した
少し心配して
少し引き止めた
だけど、
わたしの決意は変わらないとわかると
呆れたように
居間へと消えていった
その背中は
もう、
帰ってくることを望んでいなのかもしれない
悲しかったけれど
空は五月で
わたしの好きな青と白がいっぱいだったから
気持ちを切り替えた
その家には大きな池があった
夫が見たら喜びそうな
大きな池だった
錦鯉が何匹も
なんの問題もなく泳いでいた
呼び鈴を鳴らすと
初老の男が出てきて
その
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