ふくろうと錦鯉/小原あき
 
その顔はふくろうを求めていた
だけど、いらないと言うので
不思議だった


ふくろうを玄関に置いて
大きな池の錦鯉を掴まえた
夫が喜びそうな
大きな
鮮やかな三色を持った
錦鯉


夫は小さな池を持っている
そこにこの錦鯉がいたら
どんなに喜ぶだろう


ぴちぴちと腕の中で
錦鯉が跳ねる


わたしはわたしの
儀式を終えて
家に帰る道すがら
やり直せないことは
何もないのだと
何をやり直したいのかわからないのに
錦鯉に呟いた





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