19才の春/天野茂典
、
いつ車掌が検札にやってくるか心配で人心地がつかなかった。
どう記憶ちがいをしたのか、ほんとうは根室駅からだったのか曖昧で
乗車した次の駅は花咲であると思っていていまだに解決しないでいる。
旭川駅についてからどうやって改札を潜りぬけたのかもおぼえていな
い。
ぼくたちは10000円で、一週間、北海道を放浪していたのである。
旭川には友達の親戚があったのだ。ぼくたちはここを頼って暖をとり
にきたのだった。ぼくたちは3階の部屋に通された。
ストーブが炊かれていたが、寒くて1メートルと離れられなかった。
それも日中のことである。
厳しい自然のなかで生きている北海道の人たちのことが
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