19才の春/天野茂典
晴れだった。ぼくたちは流氷の上を歩いた。流氷が海面に接す
る底は蛍のようにひかっていた。.気がつくと3キロも沖あいにふみだ
していた。クリオネも雷鼓もまだ世にブレークするまえの知床の冬だ
った。
旭川の夜
雪は落ちそうで、落ちなかった。路上で落ちそうで、また舞い上がっ
た。いくらみていてもそうだった。旭川は氷点下なん10℃なんだろ
う?それでも街のなかは賑やかだった。ぼくたちは二人でふるえなが
らデパートに向かっていた。
彼女はまだおさなかった。
それでもぼくたちは恋人たちのようにわくわくしていた。
彼女は陽気でおしゃまだ。
道につまれた雪を
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