19才の春/天野茂典
は喜んで、ラーメン屋にかけこんだ。
知床の海
バスはくれてゆく知床の雪道を、チェーンの音をたてながら進んでい
った。
北欧のような憂鬱な重いたそがれだった。
今夜はユースホステルに泊まるのだ.宇土呂漁港はカラスが何百羽と
乱舞していた。
地の果てだった。
流氷がほのじろく海水をおおっていた。いまこの地には放浪者はぼく
たちふたりしかいなかった。ぼくたちは自然の偉大さと、かなしみを
知った。
ユースホステルもぼくたちだけだった。
人間がホットだった。
夜は流氷がぶつかり合って軋む音がしていた。
寒かった。
心から寒かった。
翌日は晴れ
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