19才の春/天野茂典
 


旅はおもしろいものだ。おもいどおりにはゆかないものなのだ。
大学時代に冬の北海道を旅していて、信じられないことが起こったの
だ。
それは雪のまいちる釧路でのことだった。その日紋別から釧路までオ
ホーツク海を眺めながら旅した。無一文だった。厳寒のなか夜の10
時に駅のシャッターがおりた。ぼくたちは街に放りだされた。ホーム
レスのように本能的にネオン街を歩き回った。
雪がしきりに降っていた。
そんなときだ、なんと10000円札の半分が、路肩を散って行くの
を発見したのだった。
そうしてしばらく行くうちに残りの半分をみつけたのだった。
ラッキーだった。
ぼくたちは喜
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