河原の記憶/小川 葉
られます。
水難事故による死。死の世界。かげろうに魂が乗り移る。かげろうが、ヤマメに食べられる。そのヤマメを釣った、お父さんと子供が、お母さんの目の前にあらわれた。
そんなこと、あるものだろうか、と思った私は、はっと、我に返り、家族三人が楽しく焚火をして、ヤマメを食べていた場所を見ました。誰もいませんでした。ただ、そこには、男物のサンダルと、子供用のサンダル、そして薪の束が、きれいに並べられていました。そして、さっき女の人がはいていたサンダルも、お父さんと子供のサンダルに並べて置かれていました。嫌な予感がして、背後を見ると、女の人が淵の底に沈んでいました。私は無力。そう思いました。こんな姿
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