飲食店の席で/ブライアン
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自分が居ると同時に相手が居る。この既成概念が、時として失われてしまう感覚に陥ることがある。待つとき。それがまさにそうだった。自分が居る。それから相手が居る。待つ行為は自分と相手との間にヒエラルキーを作り出すようだ。
友人は時計を見る。女性ものの時計は小さくて時間が分かりづらい。いっそ、携帯電話を腕につけていたい、と思う。小さな頃、兄が見ていた戦隊もののヒーローが腕につけていたような、ハイテクノロジーの携帯電話が腕に縛り付けられているのだ。女性の細い腕には少々荷が重いかもしれない。だが、持ち歩く荷物の多さから比べれば、我慢できないこともない。問題はデザインだろう。洋服とあわせ
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