海面上昇4/rabbitfighter
 
りあがった津波が街を飲み込んでいく、それから飲み込んだものを引きずりながら波は何度も打ち寄せる誰も逃げられない誰も逃げることができない君と僕は地下深くシェルターの中に滑り込むこの狭い空間は僕たちのせいで今にも張り裂けそうだ外では女の子の名前を付けられた巨大な竜巻がいくつもいくつもいくつも立ち上りむなしい残党狩りを始めた地中深く根を張りだした木々も引き抜かれ巻き上がり空高く昇りみんな攪拌されて世界は溢れ出す叫びを何度も何度もたたきつけ攪拌し空を飛ぶ鳥さえも逃げることはできない。

厚い雲の上はまだ青空が広がっているだろうか。あるいは、漆黒の夜が。

すべての火山が、こらえ切れなくて噴火した。
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