海面上昇4/rabbitfighter
 
た。シェルターは僕たちを健気に守り続けたけど涙と叫びで満たされてみんな息もできない。僕達の半分はいっぱいになった僕たちの涙で溺れ死に、残りの半分はこだまする不協和音の叫び声で狂い死んだ。君の泣き顔はとても素敵だったはずだ、真っ暗でもうよくわからないけど、それはきっと素敵だった。僕の叫び、君の叫び、僕の涙、君の涙、僕は君のスカートの中に逃げ込んで最後の本当の聖域を探す、地球最後のシェルター、下着をはぎ取って君の中に入れてくれと懇願するなんて醜悪な、なんて原始的な、でも逃れられない、別れではなく、終りでもなく、愛してるなんてしみったれた言葉でもなく、押し寄せる土石流、君を見るから、君を抱きしめるから、僕を見てほしい、僕を抱きしめてほしい。月を見上げられたらいいのに。十四日目の月を。太陽になった地球が照らす、小さな僕たちの子供のような月を。

許してほしいなんて思わないから。
だから、
だから
ねえ、僕は溺れ死ぬから、君は狂い死んでくれ。
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