「精霊、山の手」/菊尾
 
私は精霊だと君に言ったがあれは半分本当で半分嘘だ。
 半分嘘と言うのは私にもよく分からないからだ。
 気がついたらこの家に私は来ていた。この家は私が建てたものではないんだ。
 暮らしている内に私の体毛は濃くなっていった。
 しかも着ていた服の上からだ。驚くだろ?
 だが不思議と怖さはなかったよ。そういうものなんだろうと思っていた。
 精霊というよりも私は妖怪の類なのかもしれないな。
 
 それともう一つ教えておかないといけない。
 この山にはルールがある。
 それは山を下りるには
 誰か代わりの者を山へ捧げなければいけないというものだ。
 高橋くん。
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