乱立/捨て彦
 
の明日のために









都市の総体の1ミリである わたしが早朝
都市の総体の1ミリである顔見知りの風俗嬢に
会いにいく

女は ゴシゴシと肩の線を
つやが出るまで擦る
潔癖症なんだな と思う

そうやって 一時間足らずの物理現象もまた
空に ちりぢりになって 消えていく
( そうそう。最初に。お金を渡す瞬間の 手の温もりだけ )



自分の部屋で少女が足を伸ばしたとき
ある受験生は ちょうど 顔面を殴られていた

交差点で交通事故が起こる二分ほどまえ
しっぽの千切れたあの動物は
眠くもないのに あくびをした




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