乱立/捨て彦
 
( ところで
しっぽの千切れたあの動物の 名前が思い出せないのは きっと
酔いではなく
この街の蒸し暑さのせいだ )




まったく

誰もが ここでは正常だ









レジ、ボールペン数本、台帳、メモ用紙、
煙草、コップ、缶コーヒー、紙クズ、鏡、
輪ゴム、カバン、長靴、

雑然としたテーブルの上に
よくは知らない詩人の書いた詩が
紙に 走り書きされている

裏をめくってみると それは ありきたりな ピンクチラシだった
( そうそう、そういえば
あの子がレシートに書いてくれた詩は
とうの昔にくしゃくしゃにして捨ててしまった
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