乱立/捨て彦
都市に乱立している細く伸びたあの自然物は
休むことなく今日も増殖しつづけている
近所の子供らが たむろしていた空き地にも
ふと気がつけば
いつのまにか生えている
駅ビルの中を歩く人たちは
膝から下しか存在してないみたいだ
ハイヒールの つまさきから
空中に思考を発散して、夜
それが街のエレクトリックと反応して ほのかに香る
( そうそう。僕らがよく知っている 街のあの匂いだ )
女の人が 道端に香水を撒いている
背広の男たちが赤い顔をしながら
アスファルトを よく踏んで ならしている
それもこれも
すべては
いつもの明
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)