公園のウルトラマン/辻野克己
 
いんだ
ぼくは、本当は使いたくないんだ、スペシウム光線を
だって、相手を殺してしまうからね
ウルトラマンは酔っ払っても、変身だけはしなかった

占い師はウルトラマンに相談をされていた
戦うのをやめればいいとある人は言っていた
たった3分間、されど3分間、話し合いをしなさい
そう言うのもわかるけれど
ぼくには、彼らには、言葉が必ずしも通じるわけじゃない
それでも、戦いはするべきじゃないんだろうか
占い師は、悲しいことね、と言った
悲しいことね、もう一度言った
占い師には、それしか言えなかった

ウルトラマンは電話ボックスに入った
ぼくがこうして迷っているあいだにも

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