ただ捨てられるだけの日記/Rin.
 
を落としました。その瞬間、私は「腑に落ちた」感覚を覚えたのです。ノートの中身は、なんと歌集でした。

 日々のさりげない風景から感じたこと、「アザラシのタマちゃんを捕まえてはならない」などとニュースから感じたこと、そしてあふれんばかりの「ありがとう」に埋め尽くされた日々の日記の末尾に添えられている一首。祖母が短歌を詠んでいたなんて、その場にいた誰も知りませんでした。私はずっと、自分が短歌やそういう文章表現が好きなのは誰に似たのかと実はずいぶん昔から気になっていたのです。ああ、ここだったんだ、とそう思った瞬間、涙があふれて止まりませんでした。親や親戚は私が日記の内容に何かを思い出して泣き出したの
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