ききき/REMINGSセシル
 

自分で遥か彼方へおいやった

痛みの神経をおびやかす、

彼のタフをくつがえすものを

探していました



彼は単純に

まず泣きませんでした



120年、ふたりで月で暮らした後に

その後

さらに120年ひとりで月で暮らしたとしても

彼は泣きませんでした


いや、嘘です


120年ひとりで暮らさない術を知っていました

彼は孤独を逃れる為には

なにをもする人でした


あるときは彼は媚を売りました

あるときは彼は大金を払いました

あるときは力ずくで乗り切りました


そうやってどんな時も

[次のページ]
戻る   Point(2)