ききき/REMINGSセシル
 


うまく痛みの星へ辿り着かせないために

彼は非常にうまくたくさんのことを

切り抜けました



そして1200年が経ちました

彼は

追いやってしまった痛みの神経



宇宙の果てにしっかり存在しているのか

どうかが

わからなくなりました


瞳から流れる

雫がどうやって流れてくるのか

本当に頬をつたうのか

わからなくなりました



1200年目の冬の夜明け前

彼は第四団地の27階の屋上から

そっと

無表情に彼女と手をつないで

飛び降りるときも

何も

かわらないままでした



落ちていく瞬間

凍えるような冷たい風が



なにも

かわらないぼくと

彼女の間を

吹き抜けていきました



そんなときでさえ

こんなものかと思ううちに

ぼくと彼女は

強く地面にたたきつけられました
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