てのひらの街/山中 烏流
・おやゆび村
広場の真ん中は
噴水が陣取っていて
そこには
何人かの子供と
一匹の動物がいた
動物は
子供たちの真ん中で
小さくなって
子供たちは
動物を取り囲んで
何も無くなっていた
足元の花を踏む
誰も、そのことについて
私を刺さなかった
・ひとさしゆび町
芝生が生えていた
それは、空に似ていて
例えば
風が吹くと
どこまでも薄い青になって
雨が降ると
どこまでも鈍い灰になる
あんまり綺麗なので
一握り分の束を
刈らせてもらった
誰も、見ていなかっ
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