なしくずし/ホロウ・シカエルボク
 
ために幸せになれなかったから
俺は彼らにもらった名を捨てた、俺の名はなしくずし、俺の持ち物にはすべてそう記されてある
俺の名はなしくずし、誰も彼もが、
俺のそばで不思議そうな顔をして行った、誰も俺の言っていることが理解出来ないのだ
俺の名はなしくずし、すべての総称として俺が勝手にそう名づけた
俺の持ち物には必ずどこかにその名が書いてある
フォントとは違う巧妙なやり方で
何語とも違う独特なリズムと間隔で
俺の名はなしくずしという、そんな風に名づけたことに大した意味などない
どうしてそんな風に名づけたのかなんて俺にだってよく判らないのだ、ただあるときそれはそう決まった、子犬の顔を見て
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