夏至/モリマサ公
捨てようとして信仰のためにあるいてるわけじゃない
柔らかい
肌を
露出し
わずかな
ひかりを
あびている
骨格以外のものがはがされていくような感覚で
ぼくたちはひたむきにたちつくす
ひろげられた窓のむこうがわでよこぎる飛行機の
中につまっている荷物や
人
全部とても遠く
エンジンも声もみんな聞こえない
むねや
うでや
あしの内側をなにかざあざあ流れててやむことがない
父親たちの工場が閉鎖されてもう何年かたち
俺たちの家の鍵は
ロックしたままだ
春はまたきた
ねえ
あたしたちってばらばらだったけど
本当はぜんぜん家族だよね?
妹が電話口で
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