いまの名前/ホロウ・シカエルボク
本当のところ
それはお行儀とは関係がないのに
誰かが優しくしてくれるうちに
彼らの寝首を掻くんだよ弱虫
愛なんて概念をよりどころにしてしまったら
明日全国ネットで哀れまれるのはおまえたちかもしれないよ
家族とはぐれた母親がシステムキッチンで
自制に欠ける調子でアルコールを摂取している
よどんだ眼が見つめているものに名前をつけるなら
「どうしてわたしだけが」と刻まれた窓
ほかにはなにも
なにも
なにも
ホームレスは若者に怯え
公園のごみ箱から
底に少し残っているコーヒーの缶をあさる
豪華な札入れを持っていた時代を思い出しながら
「生きてる
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