沼の主/チアーヌ
かちょっとメルヘンチックだな」
俺がそういうと、女はちょっと膨れっ面をしてみせた。
「やっぱりね。そういうと思ったわ。でも、まぁいいわ。入って」
中に入ると、女は無言のまま、廊下の奥へ奥へと進んで行った。
外から見た時は、そんなに奥行きのある家に見えなかったのに、どこまで行っても、廊下は終わらず、先ははっきりとは見えないのだった。
そしてしばらく行くと、女はようやく立ち止まり、正面のドアを開けた。
女について中に入って行くと、そこには大きなベッドがあった。
部屋の中は安っぽい装飾で満たされ、どこからともなくローションの香りがしてくるのだった。
「早く、いらっしゃい
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