沼の主/チアーヌ
。さて、遊びましょうよ」
「百年目?どういうことだ?」
「うふふ。何まじめに取ってるの?そういう気分って事よ。ねえ、遊びましょうよ。どうせ魚なんか釣れないわよ。それに釣ってどうするのよ。キャッチ・アンド・リリースでもするの?くっだらない。そんなこと、おやめなさい。魚たちだっていい迷惑だわ。それよりも」
「それよりも、なんだよ」
女はほんのりと赤い唇の端を上げながら、すうっと水の中へと消え、そしてその次の瞬間に、水辺に椅子を置いて腰掛けていた俺の足に、白い指が絡み付いた。
「うわぁっ」
俺は思わず叫んだ。それはまるで、ブルドーザーにでも巻き込まれたように感じるくらいの、強大な力だった。
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