深夜の連弾/狩心
 
人肉が犇くプール
数々の爆弾に点火する夜
くしゃみを繰り返す細胞は
魔法を唱えるアニメキャラクターにそっくりでした
痴漢行為を働くおじさんや
毎日スーパーに出かける主婦や
空を見上げる女子高生と
縁側で寝そべる老夫婦
くしゃみをする度に
様々な人肉が目の前に現れるのです
歩く速度とくしゃみをする速度は微妙にズレていて
そのズレが恐怖を呼び起こします
だからいつも、
何も見えない闇に
安らぎを感じるのです
闇の中で髪を洗う人
何処かで見た事がある人
声を掛けようと思ったけど
もしぼくにやさしさがまだ残っているなら
そっとして
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