海に似た形の、しかし実体のない女を語るように/2TO
 
)」をなしているが、この作品において「身体」に――― 前に書いたように、「身体」は「作者」(一人称)と「彼女(の影)」(二人称)を統合するものである―――「隙間なく」包丁をつきたてているのは、この「女たち」(三人称)である。

 したがって、常に問題となる「他者」とは、この「三人称の他者」であるといわねばならない。精神分析学におけるl’Autre/l’autreという他者の区別は、単に文字の大きさによる程度の差異を表しているにすぎない(それどころか、そのような区別は「upper case(大文字)」・「lower case(小文字)」というようにヒエラルキーを前提にしているのだ。)人称代名詞に
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