海に似た形の、しかし実体のない女を語るように/2TO
だが「書く」とは、この「影」の海/快へと赴く運動に抗うことではないだろうか。もはや私ではなく、私の「影」が望むままに白頁のうえにその姿―――「影の、そのまた影」―――を描き出すことを抑/欲すること、「影」の欲動を抑圧することによって。
すると、この作品は「作者」と「影」とのせめぎ合い、両者の交差する地平において繰り広げられる闘争の光景であると言えるだろう。なぜならば、この作品は光の明るさではなく「明滅」によって、それも「死にかけた電球みたいに瞬く夕暮れの下」(第一連)、「明滅する夕暮れ」(第二連)、あるいは「明滅する影……果てしなく伸びる棘だらけの影」(最終連)といった「暗み」において
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