逆さ女/虹村 凌
 


何回目かにその女と会った日
僕は
「逆立ちをしていたら、手をつなげないよ」
と言った
その女は少し困ったような怒ったような顔をしていた
「何か言えよ。舌入れてキスすんぞ?」
その瞬間にその女は
「あなたにそんな事はさせない」
と怒り狂って帰ってしまった

ことある毎に僕にはどうしようも出来ない相談をするその女は
少し変わった喋り方をする女だった

久しぶりにその女に会った日
その女は
「逆さだったら、少し綺麗に見えるから」
と言う理由で、頭を上下逆さにして歩いてきた
「これなら手もつなげるでしょ?」
そういって金色のマールボロを吸って笑った
僕がそろそ
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