逆さ女/虹村 凌
 
ろそろと手を伸ばすと
女は少しだけ優しく手を握って微笑んだ

ことある毎に僕に色々な報告をするその女は
少し変わった女だった

しばらく手を握っていたある時
その女は
「何でいつまでもあなたの手を握ってなきゃならないの?」
と言うと手を離してスカートのすそで手を拭いた
僕は少しだけ笑って
ぬるくなったウーロン茶で一気に流し込んだ

その女の膝に上で安心して見せる男を
僕はあまりよく知らない
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