大力の女/チアーヌ
す、格闘技も、強さを誇ることも」
「しかし、そんな恐ろしい怪力を持っているのでは、なかなか結婚相手は見つからなさそうだなあ」
「いや、結婚してますよ」
「ほう」
「僕と」
「へっ、なんだ、彼女は君の嫁さんか!しかしよくそんな女と」
「あはは、よくそう言われます」
「まぁでもあれだろう、聞いてると、彼女は鉄パイプを折りながらクスクス笑ったり、お茶目で可愛いところのある女性なんだろうな。だから君も惚れたんだろう」
「もう、結婚して10年にもなりますからね。そんなこと忘れちゃいましたよ」
そのとき、彼女が、ビール瓶を持って営業部の席に現れた。
そして、みなににこやかに挨拶しながら、ビ
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