大力の女/チアーヌ
会社の制服である、水色のスーツが実によく似合っていた。
ほんとのことを言うと、俺は入社したときから、彼女のことがちょっと好きだったのだ。
(なんとかしなくちゃ)
俺は気ばかり焦り、動けなかった。
すると。
どこからか、ポキ、ポキ、と何かを折るような音が聞こえて来た。
不思議に思いながら、音のする方を見ると、彼女が手元で、何かを潰しているような様子が目に入った。
(なんだ?)
よく見ると。
彼女はちょうど座った辺りに男が置いた、鉄パイプを、指先で摘むようにして、捻り切っていたのだった。
(へ???)
俺は一瞬、何がなんだかわからなくなり、周囲を見回した。
社長の側近たちは
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