大力の女/チアーヌ
「とりあえず、待ってみましょうよ。きっとすぐ来ますよ」
興奮している男に構うことなく、彼女は淡々と話している。
(な、なんなんだ。彼女、怖くないのか)
俺は見ていて不安になった。
そのうちに、俺の周囲に、社長の側近たちが集まって来た。
とっさのことで、連絡はあまり回っていないのか、人は少なめだった。
男は、彼女の首根っこを押さえつけたまま、その場に座り込んだ。
ここで社長を待つつもりらしい。
彼女も同じく、ペタリと床に座り込んだ。
いかにも受付嬢らしい、ストレートなロングヘアに、ピンク色の口紅。
肌は色白で、ぱっちりとした目で、マスカラもばっちり。
細身の体に、会社
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