nostalgic/春日
否定を待っていることばは
おれの心の奥底にさらりと流れ込む
それはたやすいことであるけれども
ときどきすこし悲しい
きみの目は猫みたいで
冗談でにゃあと鳴くのを聞けば
ほんとうに泣いているのだと気付かされる
きみを救うよりも掬いたいこと
それに気付くたびに忘れてしまって
きみには悪いことをしました
握った手の中は
何度確認してもからっぽなのに
空っぽじゃないんだ
恥ずかしげもなくミラクルと呼ぶ奇跡を
指先で感じたかったのかもしれない、
*
わたしは頭が悪いけれど
そうだと言い訳すれば
許されることが世界にはいくつかあるのを
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)