nostalgic/春日
 


否定を待っていることばは
おれの心の奥底にさらりと流れ込む
それはたやすいことであるけれども
ときどきすこし悲しい
きみの目は猫みたいで
冗談でにゃあと鳴くのを聞けば
ほんとうに泣いているのだと気付かされる
きみを救うよりも掬いたいこと
それに気付くたびに忘れてしまって
きみには悪いことをしました


握った手の中は
何度確認してもからっぽなのに
空っぽじゃないんだ
恥ずかしげもなくミラクルと呼ぶ奇跡を
指先で感じたかったのかもしれない、





わたしは頭が悪いけれど
そうだと言い訳すれば
許されることが世界にはいくつかあるのを
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