風景に消える心/狩心
 

コーヒーが零れ出して止まらない

わたしの為に 山奥に設置された石のお地蔵様は
随分長いこと訪れない内に 沢山の落ち葉に埋もれていた
でも
丸い頭の上にある一枚の葉っぱは
なぜだか緑緑としていて
そこだけ出会った頃のまま
時間が止まっているかのようだった

わたしはお地蔵様とジャンケンをして負ける
身体を交換してわたしがその中に入る
お地蔵様の魂は わたしの体に乗って
スキップしながら斜面を下っていく
そのうしろ姿
誰に会いに行くのだろう
そんなことを思いながら
私はゆっくりと目を閉じる
それでも世界は 瞼の裏側で感じる事が出来る
紅葉の季節が来るまで

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