風景に消える心/狩心
 

わたしが目を開く事は無いだろう

天気予報が晴れだとしても
心の中に雪が降るように
クマのプーさんは深海の底で眠る
完全武装の酸素ボンベで
酸素が足りなくなったらちゃんと
小銭を持って町へ買い出しに行くのだ

清潔な酸素は高価で
小銭じゃ足りないから
自分の肉を切り売りしては
100g48円なんかで売る
ついでに知らない誰かに 膝枕の耳掻きまでしてもらう
あーすっきりしたよかったと思うと
町は海の中に沈む

すいすいと泳ぐ 金槌が電線につかまって
子供の頃のあやとりを思い出す
誰かに真珠のネックレスをプレゼントしたかった
破裂した結婚指輪をまだ持っている
それをしまったはずのポケットには穴が開いている
彼も自立したかったのだ
宇宙の紙くずとして
誰かに鼻をかんでもらうのを楽しみとして

ねじれる身体はドーナッツ
土星から生まれた
今日も幾許かの小さなお玉じゃくし
ひゅんひゅんと飛んでは
夜の繁華街を舞う
クマのプーさんのファンタジー
傷があるんですなんて
誰にも言えそうにない







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