松井冬子 賛歌 /いねむり猫
 


地雷によって奪われた足首 戦いと生産から遠ざけるために断ち切られた両手

より巧妙に より明確な目的を持って 振るわれる暴力さえ 
死からわたしたちを遠ざけている

身近な死が 全体性を蘇られせるわけでもない

内戦が続く美しい町で 家族たちの頻繁すぎる死が 生を麻痺させている

何が真の死なのか 何が回復された生なのか

生と死を隔てる そんな習慣こそ 疑わしさの核心に近いのだ


私達は 今も 探っている
忘れた振りをして 健全な振りをして

真実のグロテスクと真実のエネルギーが 混沌としながら自分を巻き込む 
そのような幸福な機会が向こう側からやって
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