精神科の待合室でのつまらない妄想。(千葉県民の会で朗読したやつ)/よだかいちぞう
る女の子がいた
彼女は手に秒針を握って
いつも離さなかった
彼女は秒針と会話ができると云っていた
ぼくが彼女に
その握ってる手の中に何が入ってるの?
と、質問すると
彼女は秒針が入ってるという
そうなんだじゃあ見せてよ
というと
「秒針がずっと握っててほしいというから
開くことはできないの」と言う
彼女はなにをするときも
右手をずっと握ったままだ
ぼくは思う彼女の握ってる手の中に
ほんとは秒針なんか入ってないんだろうって
いつか彼女は手のひらをひらいていた
ぼくが秒針はどうしたの?
と、聞くと
彼女は、わたしたち一緒になったのといっていた
どういうこ
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