精神科の待合室でのつまらない妄想。(千葉県民の会で朗読したやつ)/よだかいちぞう
ぼくを見ているときに
彼女の名前が呼ばれると
彼女はぼくから目をそらして
違う部屋と行ってしまうからだ
ぼくは一週間が待ち遠しかった
たまに子供とにらめっこをしたりした
だけど必ずぼくが勝ってしまう
子供が必ずいつか目をそらすから
ぼくは退屈だった
長針と短針はあまりにも遅くてぼくはいらいらしていた
この掛け時計の中でぼくが生活するのはあまりにも不快なことだった
あるとき彼女がぼくをちらりではなく
ただずっと見詰めているときだった
ぼくは決心を決めた
えいっとやったのだ
ぼくは掛け時計から抜け出でて
彼女の膝の上に落ちた
秒針を持っている女
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