[花]/東雲 李葉
 
悲しい息が漏れたのです。
視界はとうに滲んでいます。
冷たい水は流れ出し、
花瓶に挿した花たちは何も知らず笑います。
さよならという言葉なんて、
無くなってしまえばいいのに。
終わりが分からぬ恋だったなら、
夢の中で今でも貴方と踊れたのに。
一人の部屋では温い香りが、
強くもなく弱くもなく私の涙を誘います。
このまま嗚咽が絶えなかったら、
優しい色の花びらが水玉模様に褪せるでしょう。
窓の外では冷たい雨が、
崩れる私を隠すように激しく窓を打っている。
世界中でこの部屋だけが切り離されてしまったように。
泣き疲れて眠ったらどこかへ行ってしまえばいいのに。


咲か
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