[花]/東雲 李葉
咲かせることしか知らない私です。
未来のことなど分かりません。
色付くことしかできない私です。
触られないと意味が無いのに。
散ることでしか泣けない私です。
貴方とこの実を結ぶことなく。
花瓶の中から一輪選んで。
子供の頃したように彼を想って花占い。
嫌いになんてなれるわけないから、
花びら幾つ落としても心は一つも変わらない。
雨が止んで空が晴れたら、
私の涙は枯れ果てて地面に模様を作るでしょう。
だけど貴方がくれたこの花だけは、
萎れることなく、
乾くこともなく、
冷たい涙を吸いながら一人の部屋で咲いています。
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